トレーシングペーパーの使い方とは?転写の方法も解説
デザイン、絵画制作、建築設計など、多くの分野で使用されるトレーシングペーパー。美術系の学校や教室などで使用することも多いかと思います。この記事ではトレーシングペーパーの種類や使い方をご紹介します。
もくじ
トレーシングペーパーとは?
トレーシングペーパーの種類
・厚さの違いについて
・OAサイズのものとロール状のものがある
・強度のあるものや色付きのものがある
トレーシングペーパーの裏表の違いとは?
チャコペーパーとの違いとは?
トレーシングペーパーの基本的な使い方
・①転写する図像をペンや鉛筆でなぞる
・②裏を塗りつぶす
・③転写する
トレーシングペーパーの使用例
・絵の下描き
・刺繍の下描き
・図面のトレース
・ラッピング
・作品保護
さいごに
トレーシングペーパーとは?
トレーシングペーパーは、紙の主な原料となるパルプを、非常に細かく叩解(こうかい)することで半透明に加工して作られます。半透明であるという特徴を活かし、デザインの版下制作や、絵画制作の下絵を転写することに使用されます。
また、作品や印刷物などの表面を保護する目的でも用いられます。その他にも、ラッピングやパッケージなどの装飾やインテリア、立体作品の素材としても使用され、用途は多岐にわたります。
トレーシングペーパーの種類
厚さの違いについて
トレーシングペーパーには、様々な厚みのものがあります。厚みは斤量(g)で表記され、数字が大きいほど厚くなります。手描きのトレースの場合は薄手のものでも大丈夫ですが、しっかりとした紙でトレースしたい場合は、厚手のものを選ぶと良いでしょう。
印刷する場合は、厚めのものでないとうまく印刷機に差し込めない場合があります。印刷用で使用する場合は、斤量が90g以上のものを使用することをおすすめします。
※印刷に使用する機械によっても条件が異なります。
また、ラッピングなどの装飾に使用する場合は、厚みによって透け方や見栄えが変わりますので、完成のイメージに合った厚みのものを選びましょう。
OAサイズのものとロール状のものがある
トレーシングペーパーにはOAサイズ(コピー用紙のサイズ)のものと、ロール状のものがあります。OAサイズのものはおもに、B5、A4、B4、A3などのサイズがあります。ロール状のものは、幅280mm~1100mmなどのものがあり、長さは20mほどあるので、大きな面積に使用することができます。
ですがロール状のものは、巻かれたくせがついているので、用紙の表面がまっすぐな状態で使いたい場合には向いていません。巻きぐせがない状態で使用したい場合はOAサイズのものを選びましょう。
強度のあるものや色付きのものがある
破れにくく耐久性を持たせるため、透明のフィルムで貼り合わせられたものや、チラシやPOP作りなどにも活用できる色付きのものもあります。
トレーシングペーパーの裏表の違いとは?
トレーシングペーパーにも表と裏があります。若干の差のため見分けづらいですが、より滑らかな面が表です。しかし、表と裏が逆であっても、使用するうえで大きな差はありません。
チャコペーパーとの違いとは?
チャコペーパーにはあらかじめ色がついており、なぞるだけでその下の紙に転写することができます。チャコペーパーは様々な素材に転写することができます。チャコペーパーの色は水で消えるので、水彩や日本画の下絵によく使用されます。
トレーシングペーパーは鉛筆で転写するので、転写後に修正することができます。また、チャコペーパーと違い半透明なので、転写する場所が見え、使い勝手も異なります。
トレーシングペーパーの基本的な使い方
①転写する図像をペンや鉛筆でなぞる
まずトレースする図像にトレーシングペーパーを重ね、マスキングテープなどで固定します。動いてしまうとうまくトレースできないので、2箇所以上は固定しましょう。
固定できたらペンや鉛筆でトレースする部分をなぞります。写真では水性顔料のボールペンを使用しています。
②裏を塗りつぶす
トレーシングペーパーを取り外し、裏を2B以上の鉛筆で塗りつぶします。塗りつぶす範囲は、転写する線がある箇所あたりだけで大丈夫です。
③転写する
転写するものにトレーシングペーパーを固定します。この時も動いてしまうとうまく転写ができないので、2箇所以上をマスキングテープなどで固定します。めくることができるよう、左右の片側だけを固定すると、うまく転写できているかどうか確認しながら転写することができます。
固定できたらペンや鉛筆でなぞって転写します。なぞることによって裏側についている鉛筆の黒が転写されます。転写する際は、色の違うペンでなぞると、どこまで作業をしたのかがわかりやすいです。
トレーシングペーパーの使用例
絵の下描き
紙などの画面になるべくダメージを与えずに転写ができるため、絵画制作の下描きでよく使用されます。
刺繍の下描き
刺繍の下描きをする際、なるべく布を汚したくないかと思います。そんな時に、最低限の線をキレイに転写できるトレーシングペーパーが重宝します。
図面のトレース
建築やデザインなどの図面をトレースする際にも使用されます。
ラッピング
半透明な質感を活かして、ラッピングやパッケージの装飾に使用されることもあります。封筒やタグなどを半透明なトレーシングペーパーで作ると、上品な印象のデザインになります。
作品保護
写真や絵画作品の表面の保護シートとしても使用できます。写真は経年劣化により、写真同士がくっついてしまうことがあります。そういった事故を防止するためにも、トレーシングペーパーは役立ちます。
さいごに
トレーシングペーパーは、アイデア次第で様々な使い方ができ種類も豊富です。この記事がトレーシングペーパーの使い方の理解につながったり、新たな使い道のアイデアをひらめくきっかけになれば幸いです。