ホルベインの筆・刷毛・ペインティングナイフ類の通販

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水彩筆と油彩筆の違いと特徴

よく聞かれる質問として水彩筆と油彩筆の違いがあります。実は穂先に使用される毛の種類については水彩筆用・油彩筆用という区別はありません。主な違いは筆の柄の長さにあります。水彩筆の場合、キャンバスに描く油彩画に比べると画面の小さな水彩紙に描く傾向にある為、短い柄の方が邪魔にならず描きやすいのです。一方、油彩筆の柄が長い理由はキャンバスが水彩画より大きくなる傾向にあり、キャンバスの遠い箇所でも柄の長さで描く事が出来ます。しかし、水彩画と油彩画では使用する絵具が異なる為、それぞれに適している毛について紹介します。【水彩筆】水彩の表現やテクニックには軟毛の丸筆が一番よく活躍します。軟毛の筆の代表と言えばコリンスキーでしたが、現在、コリンスキー毛が入手しにくくなってきた為、代わりにリス・イタチ・赤馬毛などの柔らかい毛の筆が用いられています。また、天然毛の弾力や描き味に似せたリセーブル(特殊合成繊維毛)が水彩画やアクリル画に広く使われています。【油彩筆】独特の粘りをもつ油絵具は、塗り込んだり盛り上げたりする為、弾力が強く耐久性のある硬毛の豚毛がよく使用されます。また、溶き油などを混ぜ、柔らかくした絵具を塗る為の軟毛筆も必要です。軟毛筆は毛質により、弾力や描き味が異なるので、用途に応じて数種類の毛が使い分けられています。

筆に使用される毛の種類について

筆に使用される毛の種類について硬い順に紹介します。【豚】油絵画筆の代表格です。硬毛で油彩絵具の粘りに負けない弾力と耐久性があり、また一本の毛の先端が2~3本に枝分かれしているのが特徴です。【マングース】豚毛に次ぐ弾力があるやや硬めの毛質です。絵具の含みが良く、タッチを生かした画面作りに適しています。【狸(ラクーン)】絵具の含みが良く毛先に強さがあり、復元性の高いのが特徴です。【雄牛(オックス)】雄牛の耳の毛を使います。軟調で絵具の含みが良く弾力があり、セーブルに準ずる優れた毛質です。【馬】最もポピュラーな筆用の毛です。柔らかい毛質でほどほどの復元性があります。他の動物の毛と混毛する際の副材としてもよく使われています。【リス】柔らかく細かい毛質でセーブルのような弾力はありません。その反面、絵具の含みは抜群で穂先もよくまとまるのが特徴です。【コリンスキー/イタチ】弾力に富んで絵画の含みも良く、軟毛の代表格です。中でもコリンスキー毛は穂先の纏まりが良く、細密な描写に適している「最高級原毛」です。コリンスキーを含めて『セーブル』と総称されています。この他に人工毛として【ナイロン】があります。弾力があり穂先の纏まりが良く、安く量産も出来きます。手入れがしやすいのでアクリル画用によく使われますが、絵具の含みにやや物足りない点があります。

ナイロン筆について

ナイロン筆は摩耗に強い化学繊維を使用しています。天然毛と比較すると絵具の含みの点で劣るものの、弾力があり穂先のまとまりも良く扱いやすい毛質です。安価で手入れがしやすい為、アクリル画用としてよく用いられます。「リセーブル」と呼ばれるナイロン筆は、動物の毛質へ近づける特殊加工が施されたタイプです。通常のナイロンより絵具の含みが良く、天然毛は高価で何本も所持することが難しい…という方におすすめです。その他、丸善美術商事の「インターロン」も代表的なナイロン筆です。こちらはインターロック(形状記憶)加工が施された筆で、曲がり癖がつきにくい仕様となっています。また、癖がついてしまっても熱めのお湯に付ければ本来の形状に戻ります。油彩・水彩・アクリルまで広く活用出来る優れものです。

筆の洗い方

【油絵具の場合】…始めに筆に付着した油絵具を紙や布等で出来る限り拭き取ります。次にブラシクリーナーを筆洗器へ注ぎ、穂先全体を浸した状態で仕切りをやさしく撫でながら絵具を落としていきます。(※ボトルタイプの場合は直に筆を入れて凹凸の部分を撫でて振り洗いをします。) その後根本から絞るように布で拭き取り、この一連の作業を数回繰り返します。クリーナーで十分洗浄した後は、残った油分を取り除く為に石鹸で穂先を洗います。筆を石鹸へ撫で付け、泡立てて揉み込んでからぬるま湯で洗い流します。最後に水分を拭き取り、穂の形を整えて乾かしたらお手入れ完了です。※尚、石鹸は筆専用のものを使用するのがおすすめです。(ダヴィンチ 画筆クリーニングソープ/ペベオ 筆用ブラックオリーブオイル石鹸等)【水彩絵具の場合】…穂先に付いた絵具を布で拭き取り、ぬるま湯でよく振り洗いをします。念入りに絵具を落とした後、布で拭き取って穂先の形を整えて乾かします。水彩絵具は水溶性の為、石鹸で洗う必要はありません。コリンスキー毛等の高級筆を長持ちさせたい場合は、洗浄後に筆専用のトリートメント剤を使用するのがおすすめです。(クサカベ ブラシソフター等)

筆の形状について

穂先の形は通常のラウンド(丸筆)に始まり、活用方法に合わせた様々なものがあります。描き方や塗る面積に合わせて使い分ける事で、幅広いタッチで描くことが出来ます。【ラウンド(丸筆)】…定番の形。絵具の含みが良く、方向性が無いので自在な描画が出来る。細部の描き込みに適する。【フラット(平筆)】…広い面やベタ塗りに適した四角い形。グラデーションやぼかしを作る際にも活用出来る。【フィルバート】…フラットの角が丸くなった形。下書きから仕上げまで多岐に活用出来、初心者に扱いやすい形とされている。【ロングフィルバート】…フィルバートの穂先を長くした形。弾力があり、先の方が薄くなっている。絵具の重ね塗りに適する。【ファン】…平らな扇形。絵具の含みを極端に少なくしており、境界線をぼかす際やグラッシュ技法時に便利。【スクリプト】…穂丈の長い面相筆のような形。長いストロークの線描きに適する。【オーバル(キャッツタン)】…雫型のように先が尖った形。猫の舌型とも呼ばれる。穂先の向きを変える事で線描きも平塗りも出来る。1本で多様な描画が可能。【アンギュラー(アングル)】…斜めにカットされた形。エッジを利用した線描きから、曲線状の塗りまで活用できる。

おすすめの水彩筆

コリンスキー毛は水彩筆に使用される動物毛の中でも「最高級原毛」と名高く、プロの水彩画家からも高く評価されています。(ラファエル 水彩筆 8404 / W&N 水彩筆シリーズ7 等) これら動物毛の筆の魅力は、絵具と水の含みが良く、弾力に富んでいるところにあります。これに加えコリンスキー毛は穂先にまとまりがあり、且つ描き心地が非常に良いのが特徴です。その為細密な描写にも適しており、微妙なタッチや変化を加えやすい毛質となっています。また、使用後は長く使える様に、手入れは怠らないようにしましょう。「クサカベ ブラシソフター」などの筆専用トリートメントを使用するのがおすすめです。また、初心者の方や予算を抑えて筆を選びたいという方には、「ホルベイン パラリセーブル」がおすすめです。パラリセーブルはイタチと化繊の混毛筆で、より自然毛の描き心地に近づけた仕様となっています。

おすすめの刷毛

刷毛は主に広い面積を塗ったり、大作を描いたりする際に使用します。例えば、キャンバスにジェッソを塗る際は豚毛の「地塗り用刷毛」が用いられ、木製パネルに紙を水張りする際は羊毛の「絵刷毛」が一般的に使われます。その他、おすすめであるのが「ナイロン毛」の刷毛です。化学繊維のナイロン毛は自然毛(動物毛)よりも耐久性が強く、水彩からアクリル、油絵具から塗料の類まで幅広く活用出来る毛質です。ジェッソの下地塗りやニス塗りにも向いており、とても万能に扱える為一つあると大変便利です。中でも「インターロン」の刷毛は毛先が外側にバラつかない優れものです。曲り癖がついても、熱いお湯に付けることで本来の形状に戻すことが出来ます。

ホルベインについて

1900年(明治33年)吉村峯吉による大阪中之島において「吉村峯吉商店」の設立が、ホルベイン各社の礎となりました。1946年(昭和21年)「ホルベイン工業株式会社」設立、1951年(昭和26年)「ホルベイン画材株式会社」設立を経て、1999年(平成11年)創業100周年を迎えました。ホルベインでは油絵用で164色、水彩画用で108色もの絵具を商品化するため、その使用顔料の数はゆうに200種類を超えています。例えば同じ黒色でも「アイボリーブラック」は動物の骨から作った炭、「ランプ ブラック」は油煙、「ピーチブラック」は有機顔料を使用しています。塗料メーカーも含め、これ程多くの顔料を扱っているメーカーは類を見ません。それはすなわち、画家が必要とする絵具にひたすらこだわり続けてきたホルベインの長い歴史の産物です。1900年、吉村峯吉が創業した当時の事業は文具の卸・小売でした。絵具に携わりだしたのは清原定謙に代がわりして以降のことになります。それまでも国内メーカーの絵具を販売していましたが、自社でも開発したいという思いを具現化すべく、清原は復員後の1946年に絵具製造のホルベイン工業を創設。その5年後には絵具以外の筆やパレット、スケッチブックなどを扱うホルベイン画材の設立へと至りました。その後も試行錯誤を繰り返しながら、徐々に高級絵具メーカーとしての地位を確立し、現在は、国内最大手の絵具・画材販売製造メーカーとなっています。

油絵具「ヴェルネ」の歴史

日本で最初に洋画用絵具をつくったのは東京の花廼家(はなのや)です。そこから独立した二代目によるブランド、桜木絵具を販売していたのがホルベインの前身、吉村商店でした。桜木油絵具の品質や製造量に不満を感じていた吉村商店の清原定謙は、みずから本格油絵具の開発を決意しました。清原は技術指導者を招き入れて桜木油絵具を改良し、ついにより高品質な製品を完成させました。これこそ、ホルベインブランドの油絵具第一号ホルベイン「ヴェルネ」油絵具でした。しかし昭和16年(1941年)清原は召集礼状により大陸へ招集され、さらに昭和19年(1944年)東京の製造工場が焼失します。ホルベイン油絵具の歴史はここで一度、完全に途切れることとなりました。その後復員した清原が、新工場で油絵具の製造を再開しましたが、「ヴェルネ」の名前が再び使われることは有りませんでした。時は移り平成22年(2010年)、ホルベインは油絵具の原点を、もう一度見直してみようと思い立ちます。有色顔料と乾性油だけのもっともシンプルな処方の絵具がもっとも色鮮やかで美しいことはわかっています。しかしそれだけでは流通に耐える安定した製品にはなりません。粘り強く研究を続けた膨大なデータと永年蓄積された製造ノウハウのすべてが注ぎ込まれました。緻密な処方の設計と最新鋭の生産機の導入により、高い性能と安定性を両立させ、顔料のかつてない高分散により、驚くべき滑らかさ、色の濃度、透明度が実現しました。まさしく油絵具のそしてホルベインの原点、60 年以上の時を経て一旦忘れられた「ヴェルネ」の名前は、600 年以上続く油彩画の歴史に新時代をもたらすべく、こうして復活を遂げる事となりました。
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