デッサンに必要な道具について解説!初心者必見★

本ページではデッサンで使用する画材・道具についてご紹介致します。デッサンは木炭や鉛筆などを用いて対象物(モチーフ)を正確に把握し、描き出すことを目的として行う、いわば絵の訓練です。物の見方や捉え方を深め、それを描写する為の技術を養います。特に石膏デッサンは形や光、正確な描写力を必要とする為、デッサン力を身につける上で有効であるとされています。

◆木炭デッサンと鉛筆デッサンの違いについて

描画材は主に木炭・鉛筆・パステル・コンテなどが用いられますが、大きく分けて木炭と鉛筆のどちらかを中心に使用して描きます。各々のデッサンの違いについて、下記に解説致します。

木炭デッサン

  • 専用の木炭紙を使用して描く。(画用紙等では木炭のトーンが綺麗に出せない。)
  • 木炭の種類は一つでも充分描ける。
  • 比較的修正が容易。ガーゼや食パン等も消し具として多様に使える。
  • 主に画面のトーンや空間性、動きを重視する油絵科・彫刻科の入学試験に採用される。

鉛筆デッサン

  • 主に画用紙や水彩紙を使用して描く。
  • 鉛筆を硬度ごとに用意し、描く対象に合わせて使い分ける。
  • 丁寧で繊細な描き込みやハッチングがしやすい反面、修正がしづらい。
  • 主に構築性や精密さを重視する、デザイン科・日本画科の入学試験に採用される。

★初心者の方は描く際の使い分けが無く、形の修正が容易である木炭デッサンから始めるのがおすすめです。

◆デッサンに必要な道具について

デッサンを始めるにあたり、必要な道具類をご紹介致します。

木炭

木の種類や太さによって、描き心地が変わります。初心者の方は柔らかくて濃く、扱いやすさに定評のある[伊研 画用木炭 No.360] がおすすめです。初めの内はこの1種のみで十分です。筆圧やガーゼ等を駆使してグラデーションや濃淡を調整します。描き慣れた頃に必要に応じて他の木炭も試してみると良いでしょう。また、木炭は芯の部分が軟らかすぎる為、予め芯抜きを行ってから描きます。併せて芯抜きも購入しましょう。

鉛筆

硬度の違いを使い分けて描くことで、様々なトーンやタッチを出すことが出来ます。セット品を購入しても良いですが、初めの内は4B~2Hが揃えば充分です。よく使用するHBや2Bのみ数本購入しておくと良いでしょう。

カッターナイフ(鉛筆削り)

デッサンで使用する木炭や鉛筆は、カッターで削って芯先を整えた上で描きます。鉛筆の場合は芯を長く出し、側面を使って描けるようにするとベストです。鉛筆削りは新しい鉛筆を下ろす時にあると便利で、ある程度削った後にカッターでデッサン用に形を整えます。

木炭紙・画用紙

木炭デッサンは専用の木炭紙を、鉛筆デッサンは主に画用紙を使用して描きます。木炭紙の場合は予めカルトンの上に2枚程余分に敷いた上で描くと、より木炭の粉がのりやすく、描き心地が柔らかくなるのでおすすめです。

カルトン

木炭紙(画用紙)を固定する為の下敷きです。「ダブル」のものだと、間に作品を挟んで保管出来ます。持ち運びの際は専用のカルトンバッグがあると便利です。

クリップ

カルトンへ紙を固定する際に必要です。挟んだ跡が気になる方は、別紙を当てた上で使用すると良いでしょう。

イーゼル

イーゼルには主に安定性のある木製と、軽量のアルミ製があり、通常絵画教室などで採用されるのは木製です。アルミ製は折り畳み式なので、収納や持ち運び時に便利です。デッサンにおいて描く位置や目線が変わることは、モチーフの見え方もそのまま変わってしまう為望ましくありません。折角捉えた形に歪みやズレが生じないよう、イーゼルを使用して描くことが推奨されます。また、描き始める前にはイーゼル・椅子・モチーフの位置に印を付けることも忘れないようにしましょう。

ネリゴム

デッサンの修正時は、紙を傷めにくいネリゴムを中心に使用します。ネリゴムの消す力自体は弱いですが、押し当てたり、軽く擦って粉をならすなど画面上の微妙な調整が可能です。消すというよりは描いた部分を淡くする、白い線やタッチを描く要領で使います。

プラスチック消しゴム

プラスチック消しゴムは消す力が強い為、エッジを生かして線的に消すことが出来ます。ハイライトなどの白を描く際にも活用します。

※食パンについて
木炭デッサンの際に食パンを消し具として扱うことは有名で、現在でも広く使用されています。具体的な使用方法としては、ちぎった食パンを適当な形に整え擦りつけて細部を消したり、練らずに表面を撫でて木炭の調子を整えたりするなど、多様に活用出来ます。しかし、食パンを使用する際は油分をあまり含まないものから選ぶ必要があります。ものによっては紙の表面にシミを残す事がある為、注意が必要です。

擦筆(サッピツ)・ガーゼ・ティッシュペーパー

描いた部分を擦って、画面の調子を整える際に使用します。特にガーゼは木炭デッサンの必需品で、粉を掃ったり、タッチを加減したり、グラデーションをつくるなど様々な場面で活用します。

デスケル

描く対象物を画面に収め、構図を練る際に使用します。普段から持ち歩いて、ふとした風景に当てはめるだけでも構図の勉強になり、作品の発想にも繋がります。

定着液(フィキサチーフ)

完成後に木炭や鉛筆の粉を定着させ、作品を保護する為に使用します。スプレータイプが手軽でおすすめです。
※パステル用ではなく、「デッサン用」を購入しましょう。

◆あると便利なデッサン用品

制作時にあると便利なもの、表現の幅が広がるものをご紹介致します。

木炭バサミ・鉛筆補助軸

短くなった木炭や鉛筆を無駄なく使うことが出来るホルダー類です。木炭バサミは制作時の手の汚れが気になる方にもおすすめです。

消しゴム(ペンタイプ)

ハイライトなどの白を描き込む際や、細かい箇所の修正時に1つあると便利です。

測り棒

モチーフの形や距離を正確に把握するための補助器具です。メモリ付で正確な比率が測れます。

サンドペーパー(紙やすり)

鉛筆や木炭の芯先を尖らせたい時に使用します。直接芯を紙やすりに擦りつけて、微妙な角度を出すことが出来ます。

木炭と鉛筆以外のデッサン用描画材

チャコールペンシルは木炭と鉛筆両方の特徴を持ち、愛用者も多い描画材です。部分的に活用する事でも表現の幅が広がります。

マスキングテープ

部分的に白抜きにしたい際や、濃度の差をシャープに出したい時などに使用します。

クロッキー帳(木炭紙サイズ)

練習用として使用します。大まかな形を捉え、原寸で構図の確認をしたい時に便利です。

関連書籍

デッサンに関する書籍は制作過程を丁寧に紹介しているものが多く、初心者にとっては大変参考となります。参考作品を眺めるだけでもデッサンの勉強になる為おすすめです。

石膏像

デッサン教室を運営されている方向けに、当ショップでは石膏像のご注文も承っております。

◆まとめ

デッサンは観察眼を深め、描写力を高める基礎的な訓練です。才能やセンスは左程重要でなく、描いた枚数の分だけ技術が身に付きます。実に多様な表現方法・形式が存在する現代において、デッサンを重要視することにいささか疑問に感じる方も多い事でしょう。しかし、絵画制作における上達の近道はデッサンであることに変わりはありません。正しい描写力を鍛える事により、自分のイメージしたものをより形にしやすくなります。無意識に「描けるものしか描かない」状態に陥っている方にこそ、デッサンの訓練は有効です。表現の幅を広げる為にも、今一度自分のデッサン力を確かめてみてはいかがでしょうか。