キャンバスの保存

■木枠、画布の種類

キャンバス木枠に用いられる木枠は主に以下の3種類です。

  杉材……丈夫で反りや曲がりに強いのが特徴です。張ったキャンバスを剥がして張り直すにも十分な強度です。
  桐材……とても軽量で防虫作用に優れています。反面、強度の面では劣り、張り直しにはほとんど向きません。
  集成材…杉や桐を集成しているので反りなどが無く、純粋な杉材よりも安価な上に軽量です。

張キャンバスに用いられる画布は主に以下の4種類です。

  麻……とても丈夫で、また乾性油に対しての耐性もあるため、古くから油採用のキャンバス画布として用いられてきました。
  綿……コットンの画布は麻よりも白く伸縮性に優れています。アクリル画用の画布として発展してきました。
  化繊…ポリエステルやビニロン繊維を用いて織られた画布で、油彩・アクリルなど幅広く対応します。
  混紡…麻と化繊、綿と化繊など2種類の糸が混紡されており、安価で幅広い用途に対応します。

■木枠と画布のダメージ要因

木枠には主に以下のダメージが起こります。

  反り……木枠自体の強度、画布との関係、または湿度の問題により木枠が曲がったり反ったりします。
  割れ……木枠自体の強度、または保管や運搬時に強い衝撃が加わることで木枠に割れが生じます。
 
画布には主に以下のダメージが起こります。

  シワ……湿度の問題による画布の伸縮や、誤ったキャンバスの張り方などによりシワが発生します。
  破れ……画布自体の強度(伸縮性)、保管や配送時に外部からの要因で画布が破けてしまいます。

木枠や画布の強度的問題は、厳選された良質の製品をご提供させて頂いておりますので安心してお使い頂きたいところですが、製作または保管中の取扱いによってはダメージを負ってしまうことがあります。
ダメージ要因として木枠と画布が共通して湿度の影響を受ける、と言うことに注目して下さい。

■湿度への対処法

キャンバスが置かれる環境として理想的なのは気温(室温)17℃~25℃、湿度44%~55%です。
美術館はこの範囲内で作品の保管と展示を行うよう常に心がけています。
名画が今なお残り続けているのはこの徹底した管理によるところが大きいのです。
従ってアトリエや倉庫などをこの範囲に近づけることが目標となります。
これを見誤ってしまうとキャンバスに膨張、収縮が発生しシワがよったり逆に画布が強く張られ過ぎて木枠が歪みます。
では具体的に湿度を調整していく方法をご紹介します。

  湿度計を購入する。(アトリエなどの大きさによっては複数個購入する場合もあるでしょう)
  製作や保管はなるべく締め切った空間で行う。(外の空気が入ることで温度/湿度はすぐに変化します)
  温度や湿度が変わってきたら空調や加湿器/除湿機、照明や換気などで調節を行う。

  加湿器などはなければ霧吹きや電気ポットなどで代用しても構いません。要するに調整さえ出来れば良いのです。
大切なことは常に温度/湿度を確認し、対処するクセをつけると言うことです。描きっぱなし置きっぱなしが一番の敵です。

最後にこの湿度の影響を逆に利用したキャンバスの張り方をご紹介します。
温度と湿度が上がるとキャンバス画布は緩みやすくなり、柔軟性が出て張りやすくなります。
この環境下でキャンバスを張り、通常の温度/湿度に戻ると画布がピンと張ったしっかりとしたキャンバスになります。
つまり、雨の日に張ったキャンバスは晴れの日にはピンとなる、と言うことです。一度お試し下さい。

環境と上手に向き合っていくこともアーティストの務めと言うことがお分かり頂けたでしょうか。
かけがえのない、世界に一つだけのあなたの作品。いつまでも残し続けていきたいものです。

関連カテゴリー一覧

キャンバス・パネル類
張りキャンバス・キャンバスボード
木枠・画布・ロールキャンバス
キャンバス用品

おすすめ商品