「水張り」のやり方 もう失敗しない!手順と必要な道具を解説

水彩画を描くときに、水分で紙がふにゃふにゃになってしまった経験はありませんか?
「水張り」をすればこのようなことが起こらなくなり、完成しても紙がまっすぐピンと張った状態を保つことができます。

水張りとは、紙に水分を含ませてからパネルや板に張る作業のことです。
紙は湿らせると膨張し、乾くと元のサイズに戻ります。この性質を利用し、紙をまっすぐに張るのが水張りです。

水彩画だけではなく、デッサンや色鉛筆画でも水張りをするメリットがあります。
筆圧で紙がデコボコにならずきれいに仕上げることができるため、しばしば美術系の予備校でも行われます。

本特集では、水張りの手順と必要な道具について解説致します。
※水張りの手順には個人差があり、本ページでご紹介する手順は一例です。

目次

水張りに必要な道具

  • パネル
  • 画用紙/水彩紙(パネルより2~3cm大きいもの/平張りの場合はパネルより5cm以上小さいもの)
  • 水張りテープ
  • きれいなハンカチやガーゼ(けば立たないもの)
  • 筆洗(大きめのもの)
  • 水刷毛
  • (平張りの場合)鉛筆かシャープペンシル

水張りの手順(パネル張り)

パネルを丸ごと覆うように水張りをする「パネル張り」の手順をご紹介致します。

1.テープを切る

水張り用のテープを、パネルの長辺ほどの長さで2本、短辺より5~7cmほど長い長さで2本切ります。
テープを使い終わったら、付属の袋に入れチャックを閉めて密閉します。

2.刷毛で紙に水を含ませる

紙にたっぷりと、ムラがないように水を含ませます。
紙のおもて面を汚さないよう、表ではなく、裏に水を塗りましょう。ほとんどの画用紙や水彩紙は、つるつるしている方が「裏」です。
パネルの上で作業をすると紙が汚れにくいです。

水を塗ったら1分から数分ほど放置し、紙に水を染み込ませます。
→平張りの3.に戻る

3.紙をパネルの中心に置く

表を上にして、紙をパネルの中心に置きます。紙の4辺が2cmほど余るように置きましょう。

4.水張りテープを濡らす

水張りテープはそのままでは粘着力がありませんが、糊の付いた面(巻かれた状態では内側で、おもて側と比べてつるつるしています)を水で濡らすことで貼り付けられるようになります。
刷毛で軽く濡らす程度でOKです。乾くと粘着力が落ちるので、テープを貼る直前に水を塗りましょう。

5.紙の長辺の縁にテープを貼る

長辺から水張りを始めると、完成した時にシワが寄りにくくなります。
紙の長辺の端にテープを貼ります。紙の縁がテープの中心に来るように貼りましょう。
描画する面にテープが来たり、逆に紙がテープの端に来すぎたりしないようご注意ください。

紙にテープを貼ったら、紙をパネルの縁で折り曲げ、そのままパネルの長辺に貼り付けます。
→手順8.に戻る

6.反対側の縁にテープを貼り、パネルの縁で紙を軽く折り曲げる

テープを貼り終わった縁と反対側の縁にテープを貼り、紙を軽く折り曲げておきます。
次の工程でパネルと紙の間の空気を抜くため、まだパネルに貼らないでおきましょう。

7.パネルと紙の間の空気を抜きながら、パネルに紙を貼り付ける

パネルと紙の間の空気を、きれいなハンカチで抜いていきます。
空気を抜く作業が水張りにおいて一番大事な作業で、丁寧にやるほどきれいに仕上がります。テープが張ってある縁から空気を押し出すようにハンカチを動かし、しっかりと空気を抜きます。
空気を押し出した手をそのまま縁に持っていき、紙がピンと張った状態でパネルに紙を貼り付けます。数回に分けて空気を抜き、貼り付けましょう。
→手順9.に戻る

8.短辺にテープを貼り、パネルに貼り付ける

紙の縁がテープの中心に来るように、短辺の縁にテープを貼ります。
テープを貼ったらパネルの縁で紙を折り曲げ、空気を抜きながらパネルに紙を貼り付けます。

9.反対側の短辺にテープを貼り、空気を抜きながら紙をパネルに貼り付ける

手順7.と同じ要領で、空気を押し出しながらパネルに紙を貼りつけます。

10.角を仕上げる

紙の角をつまんでパネルの対角線の延長方向に軽く引っ張り、やや下方向に向け、パネルの角に直角に合わせて畳みます。
パネルからはみ出している部分を内側に折り込んで貼ります。

4つの角すべてで同じ処理をします。

11.一晩乾かす

水張り作業を終えたら水平に置き、一晩(8時間から18時間程度)乾かします。乾いていないまま描いてしまうと、紙を傷つけてしまいます。
一晩経って紙がピンと張っていたら水張り成功です。

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水張りの手順(平張り)

紙をパネルに平らに貼り付ける「平張り」の手順をご紹介致します。
平張りはホームセンターなどで売っているベニヤ板でも行うことができます。紙より一回り大きいパネルかベニヤ板をご用意ください。

1.紙に薄く印をつける

テープをまっすぐに貼れるよう、紙のおもて面に鉛筆で薄く印を書きます。水張りテープの半分の幅分内側に印を書きましょう。
作業をするにあたり裏表の区別もつきやすくなります。

2.テープを切る

紙の長辺より2~3cm長いものを2本、紙の短辺より2~3cm長いものを2本切ります。
テープを切り終えたら付属の袋に密閉しておきます。

3.刷毛で紙に水を含ませる

パネル張りの手順2.と同じ要領で、水をたっぷりと紙に含ませます。
水を含ませたら数分放置し、水を染み込ませます。

4.紙をパネルに置き、空気を抜く

紙を表を上にしてパネルの中心に置き、ハンカチで空気を抜いて紙をパネルに密着させます。

5.テープで紙を固定する

水張りテープを濡らし、つけた印に合わせてテープで紙を固定します。パネル張りと同じように、長辺から始めると紙がヨレにくいです。

6.一晩乾かす

作業が終わったら、パネル張りと同じように、水平に置き一晩乾かします。

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完成した作品をパネルから外すには

パネルのアクが紙にしみついてしまうことがあるため、完成後は紙をパネルから剥がすことをお勧めします。
平張りの場合は作品をテープごとゆっくりと剥がし、テープの部分をカッターで切り落とします。必要に応じて定規を使うと良いでしょう。カッターがテープ側に来るように切ると、手がぶれても作品を切りにくいです。
パネル張りの場合は以下の手順で紙を外します。

1.側面に切れ目を入れる

カッターで切れ目を入れます。
逆三角形状に切れ目を入れると、テープがはがれやすくなりスムーズです。

2.切れ込みからカッターを入れ、四辺を切り離す

描画面に刃が入らないよう、パネル側に少し力を傾けながらゆっくりと切り離します。

3.切れ込みを入れた部分を切り離す

折り目に沿って切り取ります。定規を使うとよりまっすぐに切れます。

4.パネルに貼りついているテープをはがす

側面が平らになるくらいはがせば、少しテープが残っていてもまた新しい紙で水張りすることができます。

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おすすめの商品

水張りテープ

マスキングテープやセロテープよりも粘着力が強く、ガムテープよりも剥がしやすいため、水張りには最適のテープです。
湿気に触れるとテープが使えなくなってしまうため、使わない時は付属のチャック袋にしまっておきましょう。

水張り用パネル

絵画サイズ・デザインサイズの豊富な種類のパネルを取り扱っています。 パネルに張ったまま長期保存する場合は、下地材を塗ることによって黄ばみを防止することができます。

水彩紙/画用紙

水張りに適しているのは、1枚1枚独立している「断裁紙」です。紙の種類によっては100枚入りなど、大容量のパックもございます。
紙は描画材や好みによって選ぶべき種類が違ってきますが、ここではオーソドックスな水彩紙・画用紙をご紹介しています。

刷毛(ハケ)

水含みの大変良い絵画用の刷毛なので、水張りに適しています。

筆洗

刷毛が入るよう大きめのものを用意しましょう。
砂遊び用の小さなバケツでも、きれいに洗えば代用することができます。

カッター

水張りした作品をパネルから外すのに使います。シンプルな小型の軽作業用カッターが使いやすいです。

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おわりに

紙がふにゃふにゃになるとせっかくの作品も台無しになってしまいますが、水張りをすることによってそれを防ぐことができます。水をたくさん使って制作しても安心です。
ぜひ水張りにチャレンジしてみてください!