ピカソのために作られた、時代を超えて愛されるオイルパステル
1949年、パリの画家だったヘンリー・ゴエッツは、有名な画材メーカーのヘンリー・セヌリエに彼の友人であるパブロ・ピカソのために油性棒状絵具の製造を依頼しました。ピカソは、セーヌ川を挟んでルーブル美術館の対岸にあるセヌリエの店に永い問、頻繁に訪れ、「色褪せ」や「ひび割れ」もなく、どんな表面にも自由に使える素材を探していました。そうして、彼らの共同研究が比類のないオイルバステルを生み出したのです。初めは48色でしたが、5色のメタリック色を含め1975年には約2倍になりました。その後、5色のパール色と普通色が増色され、現在セヌリエオイルパステルは、すべての画家の需要に応えられる全120色です。[カラーチャートはこちら]
セヌリエ オイルパステルの特徴
2. 中性の結合剤
3. 高級な中性ミネラルワックス
4. 高濃度顔料
5. クリーミーな肌理
6. 優れた耐光性
7. 優れた隠蔽力と濃さ
セヌリエのオイルパステルは、特別に考案された乾燥しない結合剤と厳選された有機及び無機顔料で造られ、最高級のワックスと化合されています。ソフトパステルのような感触ですが、ソフトパステルほどもろくなく、油絵具のような重厚な表現もでき、また画溶液を使って重ね塗りやぼかし技法も可能です。酸化性物質を含んでいないため、黄化やヒビ割れがなく顔料の色の強さを保護し、画面の劣化を予防します。本質的に乾く事がありませんが、フィキサチーフを使っての固着もできます。
セヌリエオイルパステルは2つのカラーグループに分けられます。
1) 普通色:不透明、半透明、透明色から成る標準的な110色。クラシックな色相と、新しい色合いや色調も含まれています。すべての色は、どの色とも互いに混色できます。
2) パール色、メタリック色(各5色):優れた耐光性があり、混色も可能。独特な光の反射を得られます。
セヌリエの歴史
セヌリエは1887年、化学者であるギュスタブ・セヌリエによって創立されました。彼はルーブル美術館向かいのセーヌ川左岸に小売店「マガジン・セヌリエ」を構え、小売店裏で絵具を製造し販売していました。
現在は事業拡大の為、製造工場をサンブリューに移し、小売店のみセーヌ川沿いに残し、未だ多くの美大生や画家が通っています。店舗の直ぐ裏手には沢山の画廊や美術大学、エコール・デ・ボザールがあり、街全体がアートで賑わっている地域です。
店員は創業当時と変わらないスタイルで白衣をまとい、薬局で薬を処方する薬剤師の様にお客様の要望を伺い顔料や絵具を提供しています。
当時はピカソやセザンヌ、ピサロ、ボナードなど数多くの著名な画家が通い、セヌリエの絵具を愛用していました。
オイルパステルの技法
またオイルバステルは、印刷インクと共にモノタイプ印刷にも使えます。ほこりや汚れから作品を守るため、作品完成して7~10日後にフィキサチーフ(定着液)を使う事をお勧めします。このフィキサチーフは作品を乾燥させるものではありませんが、画面を永い間、密封し逆に将来、修復が可能になります。
オイルパステルでの風景画制作
オイルパステルの支持体
セヌリエオイルパステルは技法上の抑制やキャンバスという伝統的な支持体からの拘束から逃れ、自由な画家のために創造されました。そのため、非常に多様な支持体に使うことが可能です。
●紙 : 170~200gの中性紙をお勧めします。240~280gの水彩紙も適しています。
●イラストボート等中性紙の厚紙、段ボール紙、チップボード、コルク
●木、ベニヤ板、マゾナイト、陶器、石膏、金属、プラスチック、ガラス、フィルム
●キャンバス(綿、麻、又はポリエステル)、その他天然、人工繊維
特に要求されてはいませんが、強度を維持するため紙以外の支持体の場合、描く前にジェッソを地塗りする事をお勧めいたします。