水彩画に必要な道具は?初心者におすすめの画材を紹介

本ページでは水彩画を描くにあたり、必要な画材について詳しく解説いたします。水彩絵具は新しく絵を始める方にも向いている画材です。是非ご一読の上、画材を揃えるところから始めてみませんか? また、中級者の方にこそおすすめしたい水彩画用品から、あると便利な道具類までご紹介致します。

◆水彩絵具の種類

水彩絵具には「透明水彩」「ガッシュ(不透明水彩)」があり、使い方と仕上がりが各々異なる絵具です。
両方とも水で溶いて描き、成分もほとんど変わりませんが、色の元となる顔料の大きさに違いがあります。

透明水彩は顔料が細かく、塗った際に下の色や紙の地が透けて見えます。その反対にガッシュは顔料が粗く、絵具に粘り気があり、下の色や紙の地を覆い隠します。

これらの特徴を生かして併用したり、効果的な使い方をすることで表現の幅が広がります。

透明水彩 特徴と描くコツ

  • にじみ、ぼかしの表現が容易に出来る
  • 乾いた絵具は水で溶かせば元に戻る
  • 下の色が透ける為、厚塗りすると透明感は失われる
  • 絵具は水で薄く溶く
  • 明度を上げる際は水を多く含める(白色を混色すると、色が鈍くなりやすい)
  • 白は紙の地の色を利用して表現する
  • ハイライトは塗り残すかマスキング(白抜き)する

白の絵具は多用せず、紙の地を生かす。色は重ねすぎず、濁らせないようにすること。

ガッシュ(不透明水彩) 特徴と描くコツ

  • 下の色が透けない為、重ね塗りが自由
  • 重ね塗りができるので手順を考える必要が無い
  • 乾いた絵具は使えなくなる為、必要な分だけパレットへ出して使う
  • 絵具は少量の水でクリーム状に練る(薄めすぎると粒子のムラが出来る事がある)
  • 明度を上げる際は白色を混色する
  • 完璧に白で覆いたい部分(ハイライト等)はガッシュの白色を使う

水の使用量は控えめに、ハイライト等は後から描き込むと効率が良い。

★水彩画特有の透明感、にじみやぼかしの表現を楽しみたい方は透明水彩がおすすめです。

★マットな質感で、発色の良い作品を描きたい方にはガッシュがおすすめです。

◆水彩画で必要な道具

水彩画を始めるに当たり、必要なものをご紹介致します。(項目名をクリックすると項目へジャンプします。)

水彩絵具

水彩絵具にはチューブ入りとハーフパン(固形)の2種類のタイプがあります。
絵具の使用量が多い方はチューブ、少ない方はハーフパン(固形)がおすすめです。
ホルベインのチューブが人気な傾向にありますが、海外ブランドの水彩絵具も根強い人気を誇ります。

透明水彩(チューブ)

透明水彩 ハーフパン(固形)

不透明水彩/ガッシュ(チューブ)

水彩絵具セット

透明水彩(チューブ)セット

オーソドックスなチューブタイプの水彩絵具セットです。特にホルベイン製は初心者にも人気で、長く支持を得ています。

初心者の方はまず12~24色セットから購入するのがおすすめです。その後、自分の好きな色や必要に応じて追加していくと良いでしょう。

透明水彩(ハーフパン・固形)セット

絵具の使用量が少なく、薄塗りで描く方におすすめです。持ち運びもしやすく、外出先での制作時にも向いています。

不透明水彩・ガッシュ(チューブ)セット

マットな質感で発色の良い画面を描きたい方にはガッシュ(不透明水彩)がおすすめです。

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水彩筆

水彩画において最も重要な道具は筆です。
経済的に支障がなければ、質の良いコリンスキー(セーブル毛)の筆がおすすめです。コシの強さ・水の含み・描く際のコントロールなど、どれをとっても定評があります。

水彩絵具は水で洗えば簡単に色が落ちる為、沢山の本数を揃えるよりも、質の良い物を2~3本購入することをおすすめ致します。
始めのうちは丸筆(ラウンド)10~12号を1本、2~6号の筆が2本あれば充分です。その後必要に応じて平筆・フィルバートなどの毛先の形が異なる筆や、日本画用筆も含め、自分の制作に合う筆を探してみると良いでしょう。

コリンスキーの筆が高価で難しい場合は、手頃なリセーブル(ナイロン製)の筆がおすすめです。リセーブルとはナイロンを加工してセーブル毛へ近づけたものです。

水彩筆(自然毛)

水彩筆 (ナイロン・混毛) ◆お手頃価格!

ガッシュ(不透明水彩)向きの筆

ガッシュを使用する際はコシの強い油彩筆から選ぶのがおすすめです。タッチを生かした厚塗りに向いています。

油彩筆は軸が長い為、扱いづらいと感じる方は通常の水彩筆でも問題ありません。

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水彩紙

水彩画では絵具以上に紙選びも重要です。
基本的には「水彩紙」として販売されている専用のものから選びます。水彩紙は絵具の発色が美しく、塗り重ねても表面が毛羽立たない為、画用紙などと比較すると描きやすさ・発色・丈夫さ、どれを取っても格段に優れています。

水彩紙には沢山の種類があり、個人により評価も分かれます。紙の目の粗さ吸い込み等を実際に試してみながら、自分に合ったものを選びましょう。

水彩紙 ブロックタイプ (人気!)

ブロックタイプの水彩紙は糊綴じが施されており、簡易的な水張りの効果がある為、波打ちがしにくい仕様となっています。
初心者の方は紙質の癖が少ない「ウォーターフォード ホワイトブロック 中目」のF6サイズから始めるのがおすすめです。

ブロックタイプの水彩紙は、作品が出来上がるごとにブロックから水彩紙を1枚ずつ剥がして使います。
水彩紙を剥がす際に便利な「ブロックリーフ」も取り扱っています。

ポストカードパック

ハガキサイズの用紙パックです。安価の為、色々な水彩紙を試したい方におすすめです。

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パレット

主にアルミ製プラスチック製のものを使用します。沢山の色を使用する方は仕切りが多いものから選ぶと良いでしょう。
ハーフパン(固形水彩)のセットを使用している方は、セットに付属されているケースがそのまま混色用パレットとして使える為、パレットは必要ありません。

アルミ製パレット

アルミ製のパレットは水をはじきにくく、混色した色が見えやすいため透明水彩に向いています。ただし、アルミ製はへこみやすい為、乱暴に扱わないよう注意が必要です。
チューブから出した絵具をパレットへ詰め、固形化させて使用する作家もいます。

プラスチック製パレット

プラスチック製のパレットは価格が廉価で、落としてもへこまないため手軽に使うことができます。
単色を入れる箇所(小部屋)を取り外すことができるパレットもあり、そちらは透明水彩絵具を固めて使う場合に便利です。

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筆洗

容量が多く安定性のあるタイプと、コンパクトにまとめられるタイプがあります。

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◆あると便利な水彩画用品

制作時にあると便利なもの、表現の幅が広がるものをご紹介致します。

水彩メディウム

絵具に混ぜて描くことで、表現の幅が広がります。透明感を高めたり、真珠(パール)のような光沢を与えたりするものなど、様々な用途のものがあります。

面相筆

細かい描き込みをする時には、日本画用の面相筆が1本あると便利です。

水筆

軸部分に水を入れて使用します。軽く押すことで水を出しながら描くことが出来る便利な筆です。ハーフパン(固形水彩絵具)を使用している方や、野外の制作時におすすめです。

イーゼル(アルミ製)

折り畳み式で軽量なので、野外での制作時大作を描く際におすすめです。
ターレンス製(TME-3FN)は水平にして描くことが可能で、水彩画にも向いているイーゼルです。

筆洗液

制作終了後に筆に付いた絵具汚れを綺麗に洗浄します。固まった筆も、一晩付け置きしてから洗うと再生します。

関連書籍

その著者ならではのテクニックや技法、制作過程まで多くを学ぶことが出来ます。初心者はもちろん、上級者の方まで、参考書として一冊購入しておいて損は無いでしょう。

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◆水彩画 まとめ

  • 透明水彩…水分量を調節し、マスキングを駆使して白色絵具の使用をなるべく控える!
  • ガッシュ…乾くと水で戻せないので注意。明度を上げるときは白を混色!
  • 筆は妥協せず質の良いものを使う!
  • 水彩紙は自分に合ったものを試して見つける!

水彩画は誰でも簡単に始められる反面、お子様向けのものや安価な画材も多く出回っています。
思うように描けない原因は技術不足もありますが、単に使用している画材が要因となっている可能性も高いです。

紙や筆の質はもちろん、それが自身の制作スタイルに合っているかが重要です。これにより、作品の完成度は大きく左右されます。
初心者の方こそ画材選びを慎重に、中級者の方はこの機会に一度画材の見直しをしてみてはいかがでしょうか。