鉛筆の硬度(濃さ)の違いとは? 選び方と記号の意味を徹底解説
絵画用の鉛筆には硬度(こうど)のバリエーションが多くあり、10H~10Bまであるものですと、22種類の硬度のグラデーションが展開されています。「そんなに種類が必要なの?」という疑問も湧くかもしれませんが、硬度を使い分けることで、トーンや黒の表情を調整し、モチーフを描き分けることができます。この記事では鉛筆の硬度について解説します。
もくじ
鉛筆の硬度とは?
硬度ごとの表現できる質感
モチーフ別のおすすめの硬度
・石膏像
・果物 / 植物
・金属 / ガラス
・人物(肌)
おすすめの硬度! まずはこの6本から
デッサン力を底上げする「鉛筆の削り方」
・デッサン専用の鉛筆削り「デッサンメイト」
グラデーション練習法
・単一硬度の「10段階スケール」
・複数の硬度で描く「ロンググラデーション」
さいごに
鉛筆の硬度とは?
鉛筆は硬度が高い(硬い)ほど色を薄く、硬度が低い(柔らかい)ほど色を濃く描くことができます。硬度の違う鉛筆を使い分けることによって、さまざまな陰影や質感を表現することができます。
鉛筆の芯は黒鉛と粘土を混ぜて作られます。粘土の分量が多いほど硬度が高くなり、黒鉛の分量が多いほど硬度が低くなります。例えば、三菱鉛筆のユニ鉛筆のHB芯は、黒鉛70%、粘土30%の比率で構成されています。
H系(Hard):粘土が多く、色が薄くて硬い。
B系(Black):黒鉛が多く、色が濃くて柔らかい。
F(Firm)・HB:H系とB系の中間。
これらを適切に選ぶことで、金属の硬さ、肌の柔らかさ、空気の透明感など、さまざまなモチーフを表現することができます。
硬度ごとの表現できる質感
鉛筆は、硬度ごとに描ける質感や明暗が異なります。モチーフや、明るさ・暗さ、絵の雰囲気に合わせて、硬度を選びましょう。
| 10H~4H | 非常に硬い。精密機械、建築、白の中の微細な陰影などに。 |
|---|---|
| 3H〜H | やや硬い。明るい面のベース作りや、石膏の硬い質感に。 |
| F・HB・B | 標準。形を整える、中間のトーン(中間色)に最適。 |
| 2B〜4B | 柔らかい。影のベース、植物、衣服の柔らかい描写に。 |
| 5B〜10B | 非常に柔らかい。最も深い闇、瞳の瞳孔、鉄などの強いコントラストに。 |
モチーフ別のおすすめの硬度
石膏像
おすすめの硬度:2H~2B
硬いH系で表面の滑らかさを、B系で奥行きを出します。石膏像は白いので、影の部分でもあまり濃い色を使わず、繊細なトーンで描きます。
果物 / 植物
おすすめの硬度:HB 〜 4B
瑞々しさを出すために、B系の柔らかい粒子を活かして描きます。稜線の部分をざらつかせると、手前にあるようことが強調して見えるため、奥行を表現することができます。
金属 / ガラス
おすすめの硬度:4H 〜 6B
コントラストが命。一番硬い色と一番濃い色を隣り合わせて金属やガラスの反射を表現します。
人物(肌)
おすすめの硬度:H 〜 B
H系を寝かせて繊細なトーンで丁寧に肌の質感を表現します。コントラストをつけすぎると硬く見えるので、柔らかいトーンを使用します。
おすすめの硬度! まずはこの6本から
選ぶならこの6本:4H / 2H / HB / 2B / 4B / 6B
まずは4H~6Bくらいの色味を5~6種類用意し、明暗をかき分けてみましょう。描き出しは軟らかめの鉛筆を使用します。硬めの鉛筆は紙の目をつぶすため、細部を描き込む段階で使用します。
デッサン力を底上げする「鉛筆の削り方」
デッサン用の鉛筆の削り方は、事務用のそれとは異なります。通常は鉛筆削りではなく、カッターで削ります。「芯を長く出し、木の部分も長めに削る」ことが鉄則です。鉛筆を寝かせて広い面積を塗るために芯は1cm以上出しましょう。木の部分は3cmほどにかけて、長く緩やかな傾斜になるよう削りましょう。そうすることで、手のストロークを柔軟に紙に伝えるための「あそび」を作ることができます。
H系:紙を傷つけないよう、少し丸みを持たせつつ細く。
B系:芯が折れやすいため、太めに残して先端だけを整える。
デッサン専用の鉛筆削り「デッサンメイト」
「デッサンメイト」という、デッサンに最適な芯先に簡単に削ることができる鉛筆削りがあります。「カッターで削るのが難しい」「ささっと早く削りたい」といった方におすすめです。芯先を7段階に調整することができます。芯径4mmの鉛筆の場合、芯先を最大約19mmの長さに削ることができ、芯径2mmの鉛筆の場合は、芯先を最大約10mmの長さに削ることができます。
グラデーション練習法
デッサンの明暗は、硬度の違いだけでなく、力加減や画用紙への色の乗せ方で描き分けます。
単一硬度の「10段階スケール」
1本の鉛筆(例:2B)だけで、真っ白から真っ黒まで10段階の四角形を塗り分けます。筆圧だけでどこまでトーンを変えられるか限界を知ることができます。
複数の硬度で描く「ロンググラデーション」
数種類の鉛筆を使い、継ぎ目が見えないように長い帯状のグラデーションを作ります。一番暗い端を 6B で塗り、中間を 2B や HB でつなぎ、一番明るい部分を 2H で仕上げます。グラデーションの境目で色を重ねるように置くことで、なめらかなグラデーションを描くことができます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。鉛筆のトーンや質感の表現の幅を広げることで、異なるモチーフを描き分けることができます。鉛筆には、硬度だけでなく、成分のよる光沢感の違いなど、さまざまな個性や種類があり奥が深いです。この記事が鉛筆選びの参考になれば幸いです!