油絵に必要な物とは?道具の種類や選び方、使い方を解説!

油絵は一見専門的で難しそうに見えることから、敷居が高いと感じる方もいることでしょう。

しかしながら、絵具を重ねたり、削ったり、色々なマチエールや道具を使用してみたりと、一枚の絵にどこまでもこだわれるのが油絵の特徴です。描きながら試行錯誤がしやすいという点においては、むしろ絵画初心者向きの画材と言えるでしょう。
油絵具は、水彩絵具などでは難しい厚塗り盛り上げの表現が可能で、完成した画面の光沢と重厚感が魅力です。

まずは必要な画材を揃えて、自分がどんな作品を描きたいのかイメージするところから始めてみませんか?

◆油絵用の道具の選び方・使い方

ここでは初めて油絵具の道具を購入する方へ向けて、各画材の選び方や使い方をご紹介致します。「種類が多くてどれを購入すべきか分からない…」という方は、おすすめ品の中からなるべくメーカーを揃えて選ぶようにすると良いでしょう。

項目名をクリックすると項目へジャンプします。

スターターセット

油絵を描くのに必要な道具が一通り入ったセットを取り扱っています。
お求めやすい価格で、セットを一つ買えばすぐに油絵を始めることができます。油絵を始めてみたい方にオススメです。
※「油彩画箱セット」にはキャンバスが入っていません。後述の「張りキャンバス」と一緒にお求めください。

キャンバス

油絵を描く為の支持体です。木枠に画布が張った状態で売られている「張キャン」と、別売りになっているものがあります。画布の素材は麻・化繊等の種類があり、目の細かさも細目・中目・荒目等に展開されています。
初めて油絵を描く方であれば、扱いやすいとされるF4号かF6号の張キャンバスがおすすめです。

▲ページ上部へ戻る

イーゼル

キャンバスを固定して描く為のもので、三脚型・H型などの種類があります。
軽量で持ち運びやすい、アルミ製の折りたたみ式タイプがおすすめです。小作品を中心に制作するようであれば、木製の卓上(ミニ)イーゼルでも良いでしょう。
中にはイーゼルを使用せず描く方もいますが、デッサン力が身についていない内は作品に歪みが生じやすくなる為、使用して描く方が無難です。

★[ターレンス メタル【ミニ】イーゼル2段]がおすすめです!

▲ページ上部へ戻る

鉛筆・木炭・ネリゴム

キャンバスへ下描きをする際に使用します。自分の扱いやすいものを購入しましょう。
鉛筆なら2Bまたは3Bのものを数本。カッターナイフで削って尖らせてから描きます。木炭であれば「伊研No.360」がおすすめです。芯抜きも併せて購入しましょう。

▲ページ上部へ戻る

フィキサチーフ

下描きを定着させる際に使用します。スプレータイプが簡単でおすすめです。吹き付ける事で絵具の色が濁らずに済みます。

▲ページ上部へ戻る

スケッチブック(クロッキー帳)

アイディア・ラフスケッチ帳として構図を考えたり、デッサン時の練習用として使用します。自分の扱いやすいメーカーのもので問題ありません。実際に描くキャンバスと近いサイズのものを使用すると、完成イメージが掴みやすくなります。

▲ページ上部へ戻る

油絵具

初心者の方はまず12色のセット品から始めるのがおすすめです。
各メーカーから出されている12色セットは、混色の基本となるスタンダードな色に白と黒が加えられています。基本色を組み合わせるだけでも膨大な色数を生み出すことが可能であり、色数が少ないセットから始める事で混色の感覚を養うことが出来ます。

描き慣れてきた頃から徐々に自分の好きな色を追加していくと良いでしょう。また、12色セット内に含まれるホワイトが「ジンクホワイト」の場合は、併せて「パーマネントホワイト」の単品を購入することをおすすめ致します。(ジンクホワイトには、後から塗った色にひび割れや剥落を生じさせるという弱点がありますが、パーマネントホワイトにはそのようなことがないので使いやすいです。)

▲ページ上部へ戻る

画用液

油絵具を溶く為のオイルです。主に下記の3種類があります。

▼揮発性油[ターペンタイン・ぺトロール等]
下描き時に使用。揮発する為、乾きが早い。画面に跡が残らない。

▼調合溶き油[ペインティングオイル・ルソンバン等]
描き出し時に使用。揮発性油と乾性油が配合されている。

▼乾性油[リンシードオイル・ポピーオイル等]
揮発性油と混合して使用。乾きが遅い。丈夫な絵具層をつくる。絵具にツヤが出る。

初心者の方はまず、ターペンタイン(テレピン)とペインティングオイルがあれば充分です。初めの下塗り時にターペンタインを使用し、その後ペインティングオイルで描き上げます。ペインティングオイルは複数のオイルがバランスよく配合されている為、初心者の方でも扱いやすい画用液です。

▲ページ上部へ戻る

油彩筆

弾力と耐久性の良さから、主に豚毛の筆を使用します。制作時は簡単に絵具を落とすことが出来ない為、複数本の筆を用意し、色ごとに使い分けて描きます。初心者の場合は8号~16号のフラットかフィルバートの筆を4・5本と、6号~12号の丸筆が3・4本あると便利です。こちらも描き慣れてきた頃に必要に応じて軟毛の筆や特殊な筆を追加していくと良いでしょう。

▲ページ上部へ戻る

ペインティングナイフ

パレットの上で絵具を混色したり、絵具の厚塗りや盛り上げをする際に使用します。他にもシャープな線を描いたり、絵具層を削ったり、引っ掻いたりするなど幅広い表現が可能です。ブレード(刃先)が65~80mmのものと、30mm前後のもの2種類があると便利です。

▲ページ上部へ戻る

ブラシクリーナー

筆に付いた絵具を落とす為の専用クリーナーで、描画後(制作終了後)に使用します。
新聞紙やウエスで筆に付いた絵具をある程度拭き取った後、ブラシクリーナーで振り洗いをします。その後ぬるま湯と石鹸で十分に洗ってから自然乾燥させ、筆の手入れは完了です。

筆は傷みやすい為、使用後は放置せず、手入れを怠らないようにしましょう。
[※また、描画中は揮発性油(テレピン等)で筆に付いた絵具を溶かし、布で拭き取ってから続けて使用します。]

初心者の方には100~150mlの容器入り(携帯タイプ)がおすすめです。容器の底にある凹凸を利用して洗浄する為、筆洗器への入れ替えが不要です。

▲ページ上部へ戻る

パレット

絵具を溶いたり、混色する際に使用します。木製・アルミ製・紙製などの種類があります。初心者の方は紙製のペーパーパレットがおすすめです。安価な上に使い捨ての為、手入れの手間が省けます。

▲ページ上部へ戻る

油ツボ・絵皿

溶き油を入れる為の容器です。油ツボは金属製・樹脂製のものがあり、クリップ部分をパレットに挟んで使用します。しかしながら、手入れや移し替えが必要な為、初心者の方は日本画用の絵皿で代用するのがお勧めです。複数枚用意し、オイル別に分けて使用すると便利です。

▲ページ上部へ戻る

ウエス(ボロ布)

絵具の量を調節する際や、筆の手入れ、パレットの掃除など幅広く使用します。ホームセンター等で購入できますが、着なくなったTシャツなどを切って再利用しても構いません。布目の細かいものですと、糸くずが付きにくいのでおすすめです。

▲ページ上部へ戻る

初心者の方におすすめ!あると便利な道具

作業着

制作の際は予め汚れても良い服装で臨みましょう。エプロンでも良いですが、割烹着やツナギなどの腕まで覆えるタイプがお勧めです。

道具箱

油絵の道具類はかさばる為、収納箱が一つあると便利です。軽くて容量のあるプラスチック製のものがおすすめです。

デスケル

デッサン時にモチーフの形を確認し、構図を決める際に使用します。支持体のサイズごとに展開されている為、キャンバスサイズに適したものを購入しましょう。デッサン力が既に備わっているようであれば不要です。

乾燥促進剤

あまり時間をかけずに描きたい際、油絵具に混ぜて描くと乾燥時間を短縮出来ます。メディウムタイプがおすすめです。

技法書(初心者向けのもの)

入門書として一冊購入しておいて損はないでしょう。画材の扱い方などの基礎的な内容から、その著者ならではのテクニックや制作過程まで多くを学ぶことが出来ます。

▲ページ上部へ戻る

◆油絵具の性質について

油絵具は色の元となる顔料、展色材、乾性油を練り上げて製造されます。その為水彩絵具などでは難しい厚塗りや盛り上げの表現が可能で、何度も薄塗りを重ねることで絵具の層が出来ていきます。完成した画面の光沢と重厚感が魅力と言えるでしょう。

各油絵具の特徴は顔料の性質によって異なり、ラベルには絵具に関する詳細情報や注意事項が記載されています。各メーカーのカタログと併せてチェックしてみましょう。透明性・耐光性・乾燥度などが表記されている他、中には毒性や混色制限のある絵具も存在する為要注意です。
誤った使い方をすると絵具が変色したり、ひび割れや剥落の原因になることがあります。絵具・オイル・メディウム類は特性を正しく把握した上で使用するよう心がけましょう。

また、油絵の制作は絵具を乾かしながら描き上げていくところが他の絵画と大きく異なる点です。乾燥時間は顔料と乾性油の種類により各々異なります。
一般的に粒子が大きい顔料は乾燥が早く硬めの練りとなっており、粒子が小さい顔料はその逆となります。また、描いている際の気温や塗り方にも影響されます。あまり時間をかけずに仕上げたい際は、絵具に乾燥促進剤(シッカチーフ・メディウム等)を混ぜてから描く方法があります。

◆いろいろな油絵具(単色)

当ショップでは各メーカーの専門家用油絵具から高級シリーズに至るまで、実に多数の油絵具を取り揃えております。絵具の特徴や色の総数は各メーカーによって異なり、海外製のものは国産には無いオリジナルカラーが存在していたりします。油絵の制作にマンネリを感じている方は、是非一度別メーカーの油絵具から気になる色を単品で購入してみては如何でしょうか。

※初心者の方はまず初めに専門家用油絵具の12色セット品を購入する事がおすすめです。

専門家用油絵具として定評のあるシリーズ(日本製)

専門家用油絵具として定評のあるシリーズ(海外製)

厳選した顔料や最新の技術を元に製造されている、こだわりの高級油絵具

特徴的な要素をもつ油絵具 (速乾・大作・水溶性など)

▲ページ上部へ戻る

◆ホワイト系油絵具の選び方・使い方

油絵具には顔料が異なる様々なホワイトがあります。ホワイトは単に「白」という色を表すだけではなく、他の色と混色して淡く不透明にさせたり、下塗りやハイライトを描き込んだりといった様々な用途があります。各種のホワイトに性質や特徴があり、選び方や使い方も各々異なります。ここでは代表的な4種類のホワイトについてご紹介致します。

シルバーホワイト

ホルベイン油絵具 シルバーホワイト
やや透明性があり、地塗りにも使える固着力の強いホワイトです。乾燥が早く、下描き・中描きに向いています。顔料に鉛白を使用しており、毒性があります。また、硫黄系(カドミウム・バーミリオン等)の絵具と混色すると、化学反応を起こし黒く変質する可能性があります。

チタニウムホワイト

ホルベイン油絵具 チタニウムホワイト
下塗りから上描きまで使える便利なホワイトです。白色絵具の中で最も強い白さをもち、隠蔽力が高いことが特徴です。ハイライト表現や塗りつぶしの際、効果的に使用できます。
着色力が強い反面、他の色をかき消してしまう為、混色時の使用量に注意が必要です。

ジンクホワイト

ホルベイン油絵具 ジンクホワイトSF
どの色とも混色できる、青みがかかった透明感のあるホワイトです。滑らかで描画しやすく、混色する色を生かしながら薄めることが出来ます。また、ジンクホワイトは後から塗った色にひび割れや剥落を生じさせる為、仕上げ時・上描き時のみに使用します。

パーマネントホワイト (おすすめ!)

ホルベイン油絵具 パーマネントホワイトSF
チタニウムホワイトの白色度・隠蔽力を弱めたホワイトです。その為混色がしやすくなっています。上記3つのホワイトのような欠点が無い為、初心者の方に扱いやすい白色絵具と言えるでしょう。

★油絵具の12色セット内には「ジンクホワイト」か「パーマネントホワイト」が含まれることが多いです。その為、最初に購入したセット品のホワイトがジンクホワイトの場合は、併せてパーマネントホワイトの単品を購入しておくと良いでしょう。

▲ページ上部へ戻る



◆制作時にあると便利な道具について

ここでは油絵を描き慣れてきた中級者の方にこそおすすめしたい!便利な道具類をご紹介致します。特に油絵の制作では片付けや道具の手入れに時間がかかりがちです。専用のクリーナー等を使用する事で時間短縮に繋がり、道具を長持ちさせることが出来ます。 また、意外と知られていない洋画材料も併せてご紹介致します。

張キャンバス以外の油彩用支持体

木枠に張ったキャンバスと異なり、薄くて軽い為、携帯性に優れます。下準備なしにすぐに描き始めることが可能で習作用にもおすすめです。

キャンバスクリップ

2枚のキャンバスを向き合わせ、固定するためのクリップ。乾燥に時間のかかる油絵具では、作品を持ち運ぶ際の必需品です。

画面粘着防止・保護紙

油彩・アクリル作品用の保護用紙です。表面を保護し、作品同士がくっつくのを防ぎます。

腕鎮

画面が乾いていない時や細部の描き込み時など、腕を安定させて描きたい時に使用します。先端の滑り止め部分をキャンバスの枠に当てて固定し、ハンドルに腕をのせて描きます。

キャンバスバッグ

キャンバスを収納し持ち運ぶ為のカバンです。各メーカーがサイズごとに展開しています。

油彩画用 洗浄液 (非石油系・水性)

絵具が「固まる前」の後片付け時に使用。パレットや衣服に付いた絵具を落とせます。

絵具剥離剤・絵具除去剤

既に「固まった」油絵具を除去する為の剥離剤。画筆やパレットの手入れに使用します。

筆毛保護剤

画筆用のトリートメント剤です。筆を洗浄後、少量を擦りこんで穂先を整えると筆が長持ちします。

▲ページ上部へ戻る