パステルとは? 種類やおすすめ商品、描き方をご紹介!

粉状の顔料を糊剤で固めて作られた描画材「パステル」。水やオイルが必要なく、ご自宅などでも手軽に描けるため、人気の画材です。こちらの記事ではパステルの種類や特徴について解説します!

パステルとは

パステルの製造は15世紀に始まり、レオナルド・ダヴィンチも使用していました。18世紀には多くの画家たちがパステルを主な画材として使用し、人気を博しました。

パステル(Pastel)とは、粉末状の顔料を糊剤で固めた棒状の画材です。水や画用液などがいらず、そのまま紙などに描けるシンプルな描画材です。似ているものでいうと、学校で使用するチョークが想像しやすいです。パステルの語源は、「練り固めたもの」と意味する、フランス語の「Paste」やイタリア語の「Pastello」に由来しています。また、パステルで描いたような柔らかく淡い色調を「パステルカラー」と言います。

パステルの種類

パステルには大きく分けて、「ソフトパステル」「ハードパステル」「オイルパステル」「パンパステル」の4種類があります。それぞれ発色や描き心地、硬さなどが異なります。どのような絵にしたいかにあわせて選びましょう。

ソフトパステル

少ない顔料で固められた、やわらかめのパステルで、発色がよく色の伸びに優れています。やわらかく、くだけやすいため、取り扱いに注意が必要です。ぼかしやグラデーションといった表現に向いています。

ハードパステル

バインダーの割合が高く顔料が少ないため、シャープな描画が可能で、細かい部分を描くのに適しています。他のパステルと組み合わせて輪郭を描いたり、アクセントを加えたりするのに使用できます。ハードパステルは伝統的に、構図の下絵を描くために使用されてきました。多少固いとはいえ、簡単に折れてしまうことがあるため、力の入れ具合には注意が必要です。

オイルパステル

オイルパステルは顔料をワックスと油分で固めたパステルです。少ししっとりとしており、ほかのパステルと比べると定着力が強く発色が鮮やかです。厚塗りすることで油絵のような表現も可能です。描き心地はクレヨンに近いですが、より滑らかな描画ができます。油絵具用の溶剤テレピン油やぺトロールで溶かして色を伸ばすこと可能です。

パンパステル

パンパステルはほかのパステルとは異なり、棒状のものではなく化粧品のファンデーションのような形状です。高品質顔料と最小限の糊剤・添加剤で作られており、非常にリッチでソフトで粉っぽさのないドライタイプの色材です。

パステル関連商品

基底材(支持体)

基底材(支持体)とは、絵を描く面(キャンバス・紙・板など)のことです。パステルは主に紙に描かれます。特に凸凹がしっかりとあるパステル用画用紙がパステルの基底材としておすすめです。パステルはほかの画材と比べ基底材への定着力が低いため、凸凹のある紙でないとうまく定着しません。

定着液

パステルは粉っぽく、乾いた描画材であるため基底材への定着力が非常に低い描画材です。そのため、指でこすっただけですぐにとれてしまいます。作品が完成したらパステル用の「フィキサチーフ」を使い、画面への定着と保護が必要です。

定着剤を施しても完全に定着するわけではないため、取り扱いには十分な注意が必要です。フィキサチーフは繰り返しかけるほど定着力は増しますが、かけすぎると色が沈んでしまい、絵のイメージが変わってしまう場合があるため注意が必要です。

描画材

サッピツ(擦筆)
サッピツ(擦筆)とは、紙を巻いて作られた筆のようような道具です。パステルや、鉛筆や木炭で描いた線や色面をこすってぼかしたり、なじませたりする際に使用します。画面上でパステルをぼかしたり伸ばしたりする際に指を使うと、指の油分が紙についてしまい、色の乗りが悪くなってしまう場合があるため、サッピツが使用されます。

パステル色鉛筆
パステルを鉛筆状にしたものです。アウトラインを描いたり、シャープな描きこみをする際に使用します

パステルの描き方(描画方法)

ここからはソフトパステルを使用した描き方の一例をご紹介します。パステルの描き方は、パステルの種類によっても様々ですが、ご参考いただければと思います。

ハッチング
同じ方向に線を複数の引いて色面や濃淡を表現します。ランダムに無数の方向に線を引いて描くハッチング方法もあります。


ブレンディング
複数の色を紙の上で混ぜるテクニックです。混ぜる際は、指やティッシュ、サッピツや筆などを使用します。


ぼかし
指やティッシュ、サッピツや筆などでパステルの色を伸ばし、ぼかす方法です。


ドライウォッシュ
カッターやヤスリなどでパステルを削り、粉状にしたものを紙に刷り込む方法です。広い範囲に色を淡く乗せることができます。


フェザリング
短く軽いストロークで羽毛のような質感を表現します。髪の毛動物の毛並み、草原などを描くのに最適なテクニックです。


スカンプリング
パステルを寝かせて、ほかの色の層の上に軽くこするようなストロークで色を乗せます。


スティップリング
いわゆる点描のテクニックです。混色によって濁らないため、発色のいい表現が可能です。また、ニットや毛糸のマフラーなどの質感を表現することもできます。


イレージング
練り消しゴムなどの消しゴムを使用して色を抜いて描く方法です。空の雲や水面の波のなどを描くのに向いています。


ステンシル
あて紙やテンプレートを使用して描きます。テンプレートとなるものを使いまわすと、同じ形態を複数描くことも可能です。


さいごに

いかがでしたでしょうか。パステル画を描いてみたくなりましたか? 描きたいものや自分の表現したい雰囲気に合わせてパステルを選んでみましょう!