ミューズ式 失敗しないパネル張り

パネル張りは、波打ちによる描き辛さを解消するための最も有効な手段です。
しかし慣れていないと難しく、失敗のリスクを考えるとハードルが高いもの。 そこで原料のパルプごとに異なる紙の吸水力や、乾燥にともなう伸縮、といった紙の生理現象を熟知したミューズが「失敗しないパネル張り」をご紹介します。 紙の乾燥速度に負けず、きれいに・確実に・一気に接着できる、水張りテープを両面テープに見立てたパネル張りです。

● 必要な道具・材料



●紙の準備…水彩紙を用意します。
※ワトソンのようなコットン配合の水彩紙は、水や折り曲げに強く、保水性が高いため、水張りに最適です。

①紙をパネルの大きさ+折り返し分天地左右15mm分大きめにカットします(このとき表裏の区別のため、裏面に鉛筆などで印をつけておくと良いでしょう)。
②紙のウラ面の真ん中あたりにパネルを置き、パネルの大きさ(折り線部分)を鉛筆で記しておくようにします。

※紙は水分を吸うと伸びるため、この伸び幅を予め計算に入れて紙をカットすると、折り返し部分を揃えることが出来ます。



●テープの準備…水張り用のテープを事前に切っておきます。

③水張りテープをあらかじめパネルの桟と同じ長さに切りそろえておきます。
さらに仕上げの化粧貼り用にパネル1周+数cm分の長さのテープも別途準備します。

●注意
水張りテープは湿気を帯びると一体化して固まり、使用できなくなります。使い終わった水張りテープは付属のポリ袋に入れて空気を抜き、しっかり封をします。
※食品用ラップフィルムに巻いてからポリ袋に入れ、乾燥した場所で保管するとより安全です。
※水張りテープを取り扱う際は粘性を発生させないために必ず乾いた手と場所で作業してください。
※水張りテープの除去方法:パネルから除去するには水を十分に染み込ませ、水が全体に馴染むまで放置するときれいにはがせます。



●パネルの準備…木製パネルに水張り用テープを貼ります。

④パネル面を上向きにして桟にスポンジで水をつける。
⑤図のように貼り残しを設け、③で切りそろえた、テープ1~4を貼る。
⑥ミューズカラーテープを貼り終えた状態。
⑦桟に貼ったテープ部分に糊を塗布し、頭出ししたテープを矢印方向に折り返して接着。

●パネルの取り扱いについて
1) 木製パネルは、種類によっては濡れると表面の目止め剤が流れ出てきて紙を汚すことがあります。軽く濡らして、できるだけ目止め剤を拭き取っておきましょう。
2) 表面に大きなささくれを見つけたら取り除きます。紙を貼った時に凸ができてしまう原因となります。同様にゴミもつかないよう注意しましょう。
3) 木材は紙を酸性化し劣化させる要因となります。長期使用を想定するのであれば、パネル表面をジェッソなどで目止めするか、表面をアク止め加工したパネルを使用します。



●紙の水潤作業

パネル張りは紙に水を吸わせ、伸びた状態でパネルに固定するのが基本原理です。このときの伸び方が十分でないと完成後に波打ってしまいます。水彩画を描く場合、刷毛で紙の片面だけ濡らす程度では不十分なことがほとんどです。 また、数時間紙を水に浸したままにするのも紙の品質上おすすめできません。 そこでミューズ式パネル張りでは、下記の「水潤方法」をおすすめしています。 (ワトソンなどコットンを主原料とする水彩紙向き)

・大きい紙の場合…作業用に少し大きめの板を別途用意し、水をホースでゆったりかける。水潤作業中、少し持ち上げて平板と紙の間から水を流し込みオモテ面にも水を与える。
・小さい紙の場合…ウラ面を上にして、折れないように注意しながら、紙を水槽に漬け込む。

●注意
※ウッドパルプの紙は乾燥が早いため、放置時間を2~3分程度に縮める必要があります。
※水濡れや折り曲げに弱い紙は、水潤回数を減らすか、刷毛で濡らす程度の方が良いでしょう。
※ケント紙の水張りなどは描画面の平滑性を護るため、裏面のみを濡らす方法を選ぶことがあります。
※水張りをするとサイジングが強い紙でも表面のサイズ剤が流れて、絵具のはじき具合がある程度落ち着きます。
※紙によって乾燥の早さ、伸縮の度合い、水濡れ強度などが違うため、上の表を基準にして描きたい紙の種類や厚みに合わせ、水潤時間を調整してください。

※条件によって水潤時間を調整して下さい。
▼水潤作業一例:水潤を3回繰り返す方法(鉛筆画や淡彩画程度の使用や 200g程度の薄い紙の場合)



●紙の張り込み

⑨水潤作業が終了したら、紙はウラ面を上にして、刷毛で空気を抜きながら 平板に吸い付かせる。
⑩準備しておいたパネルをおおよそ紙の天地左右均等の配置になるよう 上に置く。



⑪平板が上になるように、平板とパネルを重ねたまま、ゆっくり反転させる。(大型のパネルの場合は、二人で行うと安全である)
⑫上の平板だけを静かに取り除く。 (この時、本紙はオモテ面が上を向いた状態になっている)
⑬片方静かに持ち上げて、刷毛でを空気を抜きながら紙をパネル板面に吸い付かせる。(この時点で紙の乾燥は始まっているので、 空気抜き作業は素早く行う)



●折り接着の作業

⑭手の腹を使い、天板から桟に向けて擦り付けるように圧着させ、角に膨らみを 作らないよう きちんと折りたたむ。(テープの糊面が露出しているので直接接着されていきます)
コーナーは、三角のツノができるよう特に丁寧に処理する。(ツノの仕上がりが良いと乾燥後のシワは起こりません)
圧着後、下の断面図のaの空間を爪先で埋める。(bのように紙とパネルの空間を埋めることで、乾燥後の縮みによる紙の破れを防ぐ)



●仕上げ作業

⑮手順③で準備した仕上げ用のテープ5を側面に貼っていく。⑭の作業時点で、すでに紙はパネルと一体になっているため、仕上げテープ貼り作業はゆっくりと丁寧にできる。 はみ出たテープは裏に折り返す。
⑯乾燥は室内にて必ず水平にし、約1日自然乾燥させれば、完成。 (立てかけておくと紙に含まれた水分が下に移動し、乾燥速度が天地で異なり、紙が破けることがあるので注意)

これで水張りは完了です。是非お試し下さい!
関連商品は以下から。▽